レザー製品のお手入れサインを見逃さない!(革鞄、革製品)
b3Laboで作っているバッグ・お財布の革のほとんどが「タンニンなめし」に分類されます。タンニンレザーは「定期的にメンテナンスして、経年変化を楽しむ革」。
メンテナンスはちょっと面倒ですが、やはりフェイクレザーやクロムレザー(大量生産できる柔らかなレザー)にはない、経年変化が魅力的ですよね。
ではなぜメンテナンスやケアが必要なのかを説明いたします。
お財布・バッグに使う革
一般には特にお手入れの必要ない「クロムなめし」のお財布やバッグがほとんど。 これらの革は多少の色褪せはあっても、経年変化しない、布みたいに気軽に使える特長があります。
b3Laboでお財布やバッグに使う革は「タンニンなめし」の中でも最初からオイルを含ませ、染色したものが多く、特にこのオイルのおかげで最初の3ヶ月~半年ほどはお手入れが必要ないことも多いです。
なお、タンニンなめしの中でも、オイルを含ませず表面加工も控えた素のままの古き良き革、いわゆる「ヌメ革」(※最近は定義が様々です)があります。 b3Laboでは栃木レザーのヌメ革のお財布も作っていますが、こちらはきれいな経年変化のために、他のお財布よりも少し注意が必要です。
ヌメ革は素材そのまま、あらかじめオイルも入れていないゆえに、ケア剤はもちろんのこと、汚れも素直に吸い込んでしまう性質があります。 ある程度仕上がってくるまでは気を使います。
そこまで大変な手間はかからないとはいえ、バッグやお財布によく使う革で気をつけることも、基本的には同じ。
まず気をつけることは、とにもかくにも『乾燥したまま使うのは良くない!』です。
革はこんな構造をしている
革はもともと、動物の皮膚だったもの。
生きていた頃は、私たちの肌と同じで油分・水分が内側から補給されていました。
それが「革」に加工された今では外から油分と水分を補ってあげる必要があります。ケアを怠ると、乾燥によってひび割れが生じて取り返しのつかない破損になります。
革は、ざっくりと「銀面(+乳頭面)」と「床(トコ)面」に分けて考えることが多いです。
銀面は非常に丈夫で引っ張りやねじりに強くなかなか千切れることがありません。それに比べると床面はもろい特性があります。
レザークラフトを嗜まれる方には特にご理解いただけると思いますが、
「銀面さえ残せば、床面を漉いて薄くしても案外OK!」
お財布のカードポケットなどもその考えから薄い銀面で作られています。 1箇所にカードをたくさん入れ続けても、薄くした革は伸びはしても破れたり千切れたりはしません。
革のバッグでもお財布でも、あらゆる革製品において強度を保って壊れないようにするには、『いかに銀面のダメージを抑えるか』が大切になってきます。
丈夫な銀面にダメージが及ぶのはどんな時?
それは、最初にお伝えした『乾燥したまま使用すること』です。
最初は、粉を吹いたような白っぽさが出てきます。少し毛羽立っているような状態です。
銀面の繊維は非常に細かく目が詰まっているため、急に千切れたりひび割れたりすることはありません。最初のサインは、よく曲げ伸ばしするジョイント箇所に現れます。
お財布のフラップや、バッグの縫い目をひっくり返した部分には特に注意です。
この段階なら、お手入れして潤いを足してあげることで修復できます。
クリームメンテナンス1回でリカバリできることがほとんどです。
乾燥した状態で使用を続けてしまうと……
ここでお手入れを怠り放置してしまうとより深いシワを刻んでいきます。
表面をよく見ると細かくひび割れになって、触った感じもガサガサし、衣類に引っかかりをおぼえることもあるかもしれません。
丈夫な銀面がまだつながっている、この段階でなんとしても食い止めましょう。
歯医者さんで説明してもらう『丈夫なエナメル層の下の象牙質はもろい』と似ています。
日をおいて様子を見ながら何回かクリームメンテナンスを行い、ちょうどいい潤いまで持っていきましょう。
慣れないうちは一気に潤いを与えるのはNG!
油分を入れすぎることもまた革へのダメージ、寿命を縮めてしまうことにつながります。
これまで放置した分、ゆっくりと時間をかけて潤いを足していってあげましょう。
銀面がぱっくり割れたら、もうパーツ交換しかありません。
どこに気をつければ破損を防げるか
破損しやすいパーツは、よく曲げ伸ばしするジョイント的な部分や、バッグの底など縫ったあと裏返した部分です。しかもバッグの底は日常使いで最もこすれる部分でもあります。
構造上、常に革そのものに力がかかっているところから徐々にひび割れが始まります。
図にするとわかりやすいですね。
ぐっと曲げた時、潤いが保たれていれば頑丈な銀面が伸縮しますが、乾燥していたら伸びることができず、引っ張りに負けてしまいます。
こうして少しずつひび割れていき、千切れてしまうというわけです。
つまり、こういった場所を気をつけて見てあげることがお手入れ時期のサインを見逃さない秘訣になります!
- カサカサしている
- 白っぽい
- 少し粉を吹いているよう
- 毛羽立っている
- ちいさなシワが出てきた
壊れてしまう前にできること
本来、とても丈夫で10年以上使える革。
革の良さ、革の強度を遺憾なく発揮できるように、たまにゆっくりできそうな週末にでも、お手元の革小物たちにもぜひお手入れをしてあげてください。
思わず充実した時間になるかもしれません。
b3Laboのおすすめのケア剤は靴ケアのコロンブスさんのコンディショニングクリーム。
ゲル系の革ケアクリームの良いところは、水分と油分が一気に補えるところ、そして何よりも油分の入れすぎが起こりにくいところ。バーム系はお手入れ、メンテナンスに慣れた方におすすめしています。
b3Laboの店舗では「緑のケア剤」と言えば通じますのでお近くの方はぜひご利用くださいね。
また、お買い上げいただいた革製品中心に、このクリームを使って無料メンテナンスも実施しております。休日などお客様が多い時間はおまたせしてしまうかもしれませんが、覗いてみてください。
お手入れ頻度の低い革
栃木レザー
b3Laboが惚れ込んだ栃木レザーは全般的にお手入れしながら使う革になります。 きれいな経年変化のためには早めからのお手入れが有効です。 ある程度オイルを含んだ革も多く、毎日手にするだけで自然に移っていく『手からの湿気・油分』で持つこともありますので乾燥のサインを感じたら、が基本になります。
こちらのFINEシリーズで使用している革はお手入れ無しでかなり持ちます!
あくまで使用環境により様々ですが、工房の買い出し用財布として使用している例では、かれこれ4年程お手入をせず、まだまだ問題ない状態です。
日々工房近くの資材・金具屋さんにお遣いに持参しています。
イタリーレザー
イタリアの革は日本の革に比べ、オイルがたっぷり入った柔らかなものが多い傾向。
b3Laboでよく使っている『Pueblo』『ミネルバ・ボックス』の場合、『お手入れ不要』ではなく『クリームを使ったお手入れは当面のあいだ禁止!』と言っても過言ではありません。
逆に革の寿命を縮めてしまうため、上でお伝えした「白っぽくなってきたら」を見極めてあげてくださいね。