ヌメ革の財布を長く使うために知っておきたいこと

色落ち・傷・お手入れ・カードポケット・修理について
ヌメ革の財布をご検討いただいているお客様から、
「色落ちはしませんか?」
「傷がつきやすそうですが大丈夫でしょうか?」
「クリームやオイルは塗った方がいいですか?」
「カードポケットは何枚くらい入りますか?」
といったご質問をいただくことがあります。
ヌメ革は、一般的な革製品に多く使われているクロムレザーとは少し性格の異なる革です。
使い始めは硬く、傷も目立ちやすい一方、使い込むほど色が深まり、艶が生まれ、自分だけの表情へと変化していきます。
今回は、b3Laboで15年以上取り扱っている栃木レザー「ミシバクロップ」を例に、ヌメ革財布を使ううえで知っておきたいポイントをご紹介します。
【ミシバクロップ使用商品】
https://b3labo.jp/?mode=grp&gid=2479557
ヌメ革は色落ちする?
天然皮革である以上、「絶対に色落ちしない」と申し上げることはできません。
ただ、b3Laboの実店舗では15年以上ミシバクロップのベルトを販売していますが、通常使用の中で大きな色移りの問題になったケースはほとんど聞いていません。
ベルトは、汗や皮脂で湿った状態で衣類と直接触れることも多いアイテムです。
それに比べれば、財布は比較的安定した状態で使用されるため、通常の使い方であれば過度に心配する必要はないと考えています。
また、ミシバクロップのような、油分を多く含ませていないヌメ革は、柔らかいオイルレザーと比べると色移りが起こりにくい傾向があります。
DIYにおける塗装や染色でも、油分が多い状態では塗料や染料が安定しにくいため、前工程で脱脂を行います。
革についても同様に、油分の多さは色移りや表面状態に影響します。
もちろん、雨や大量の汗などで革が強く濡れた状態では色移りする可能性がありますので、淡い色の衣類と組み合わせる場合などはご注意ください。
革のカードポケットは使うほど伸びる
すべて革で作られた財布の場合、カードポケットも使用状況に合わせて少しずつ伸びていきます。
新品時には1枚でも少しきつく感じることがありますが、同じ枚数のカードを入れて使っているうちに、その厚みに合わせて革が馴染んできます。
2枚入れて使い続ければ、やがて2枚が自然に収まるようになります。
ただし、ここで一つ注意点があります。
革は、一度大きく伸びると完全には元の状態には戻りません。
たとえば、長期間2~3枚のカードを入れてポケットを広げたあと、1枚だけに減らすと、カードをしっかり保持できなくなることがあります。
財布を閉じて持ち歩いている間は問題がなくても、会計時などに財布を開いた際、カードが抜け落ちる可能性があります。
そのためカードポケットは、
「普段何枚入れるか」
をある程度決めて使っていただくのがおすすめです。
翻って、この特性もまた「自分だけのお財布に育てていく」楽しみでもあります。
札入れは「すべて同じ使いやすさ」とは限らない
トラッカーウォレットのような多層構造の財布では、大きなポケットが複数あるものも。
一見するとすべて札入れとして同じように使えそうですが、実際には構造上、開きやすさに違いがあります。
たとえばミシバクロップのトラッカーウォレット(ロング)の場合、小銭入れに近い大ポケットがもっとも大きく開きやすく、日常的に使う紙幣を入れる場所としておすすめです。
そのほかのポケットは、
・高額紙幣
・レシート
・普段あまり使わないカード類
などを分けて収納する使い方に向いています。
革財布は、収納箇所の数だけでなく「どこが一番開きやすいか」を確認すると、より使いやすくなります。
ヌメ革は傷つきやすい革です
一般に流通している本革製品の多くは、クロム鞣しと呼ばれる方法で作られています。
それらと比較すると、タンニン鞣しのヌメ革は傷がつきやすい革だと言えます。
ただし、これは必ずしも欠点だけではありません。
ヌメ革の魅力は、傷や擦れ、色の変化まで含めて、使った人の履歴が革に残っていくところにあります。
特にトラッカーウォレットは、アメリカのウエスタンスタイルやワークスタイルをルーツに持つ財布です。
もともと「傷をつけないように使う」というより、使い込んでできた傷や艶をその人ならではの味として楽しむ文化の中で生まれています。
とはいえ、
「できるだけきれいに使いたい」
という方も多いと思います。
そこで、ヌメ革をきれいに長く使うための考え方をご紹介します。
→方法1 最初はあえて何も塗らない
新品のヌメ革は、油分や水分が少なく、比較的硬い状態です。
この硬さがあることで、浅い傷(凹み)などが革の奥まで入りにくいというメリットがあります。
そのため、
「まずは何も塗らず、そのまま使う」
という方法もおすすめしています。
使っているうちに手から少しずつ水分や油分が入り、革は徐々に柔らかくなっていきます。
その頃には革の色も深くなり、表面には艶が生まれているため、新品時ほど小さな傷が目立たなくなります。
ヌメ革本来の経年変化を楽しみたい方には、もっともシンプルな方法です。
→方法2 使い始めだけ、ごく薄くクリームを塗る
もう一つの方法は、使い始める前にごく薄くヌメ革用のクリームやバームを塗っておくことです。
新品のヌメ革は、たとえるなら
「何も吸い込んでいない、まっさらなスポンジ」
のような状態です。
油分も水分もほとんど入っていないため、最初の時期に汚れや水分が付着すると、それを強く吸い込んでしまうことがあります。
そこで、ごく薄くクリームを入れて一晩置き、浸透させてから軽く拭き上げておくと、最初期の汚れに対して多少のバリアになります。
先ほどの「最初は何も塗らない」という話と矛盾するようですが、どちらにもメリットがあります。
大切なのは、
最初からたっぷり塗らないこと。
あくまで「ごく薄く」がポイントです。
革のお手入れは、やりすぎない方がいい
革製品というと、
「定期的にオイルを塗らなければいけない」
と思われることがあります。
しかし、財布については必ずしもそうではありません。
革に入った油分は完全に抜けるわけではなく、少しずつ蓄積していきます。
そして油分は時間とともに酸化します。
この変化が革の色や艶といった味わいを生む一方、10年、20年という長い期間で考えれば、革そのものの劣化にも関係します。
だからといって、油分を一切与えず、素手でも触れないほど大切に保管してしまうと、今度は乾燥によってひび割れが起こることがあります。
財布についてb3Laboが、
「日常的に手で触れていれば、基本的には手から入る油分で十分です」
とご案内しているのは、そのくらいが革にとってちょうど良いためです。
お手入れするなら、オイルよりクリームがおすすめ
もし革が乾燥してきたと感じた場合には、慣れた方向けのオイルを大量に含むバームタイプのケア用品より、水分を含んだクリームタイプがおすすめです。
クリームは伸びがよいため、少量でも革全体に薄く広げることができます。
必要以上の油分を入れずに、水分と適度な油分を補うことができるため、財布を長く使いたい場合に向いています。
b3Laboでも革製品用のクリームをご用意しています。
【ヌメ革用クリーム】
https://b3labo.jp/?pid=155286374
革が丈夫だからこそ、糸や金具を修理して使う
厚みのある良質なヌメ革の場合、革そのものが先にダメになることはそれほど多くありません。
長期間使っていると、むしろ先に傷んでくるのは、
・ステッチ
・ホック
・ファスナーのテープ
・そのほかの金具
といった部分です。
たとえば財布を常にお尻のポケットに入れて5年、10年と使っていると、革がまだ十分使える状態でも、擦れによってステッチが切れてくることがあります。
こうした場合は、財布そのものを買い替えなくても修理できることがあります。
ミシバクロップ製品については、修理内容にもよりますが、現在はステッチ修理などであれば送料を含め2,000円前後で対応できる場合があります。
長く使って変化した革を残したまま、消耗した糸や金具だけを交換する。
これも、昔ながらの革財布ならではの楽しみ方です。
【修理についてはこちらから】
https://b3labo.jp/?mode=f12
ヌメ革は「完成した状態」で買うものではない
ヌメ革の財布は、新品の状態が完成形ではありません。
使う人の手から少しずつ油分や水分が入り、色が深まり、柔らかくなり、艶が生まれます。
カードポケットも自分の使い方に合わせて馴染み、傷や擦れも少しずつ表情の一部になっていきます。
数年使って糸や金具が傷んだら修理し、また使う。
そうして長い時間をかけて、自分の道具になっていく革です。
傷や色の変化を完全に避けたい方には扱いづらく感じる部分もありますが、その変化そのものを楽しめる方にとって、タンニン鞣しのヌメ革は非常に面白い素材です。
b3Laboでは、こうした革の性格や使い方も含めて、できるだけ長く革製品をお使いいただけるようご案内しています。
今回ご紹介した内容が、ヌメ革財布選びの参考になれば幸いです。